▶赤菅付さん(前列左から2人目)ら患者会のメンバーと談笑する江田氏(右隣)と山野教授(後列右から3人目) 2009年4月
政府動かし母子感染を防止
ATL新薬開発など着実な成果
主に母乳を介して感染し、重篤な白血病(ATL)や脊髄症(HAM)を引き起こす恐れのあるウイルス「HTLV―1」。
2010年12月、野党だった公明党や患者会の度重なる要請を受け、政府は全国的な妊婦抗体検査の実施や、治療法の研究・開発などを柱とする総合対策を決めた。
あれから8年余り。当時、感染者は全国に100万人以上ともいわれていたが、聖マリアンナ医科大学大学院の山野嘉久教授は、「総合対策で感染者は減少傾向にある。母子感染は着実にブロックされている」と語る。
ATLの治療薬は新たに二つ増え、HAMへの応用も研究されているという。ここに至る過程にも、専門誌「医療タイムス」が「患者と二人三脚の快挙」と報じた公明党のネットワークの力があった。
「近所に病気で大変な人がいるの。話を聞いてあげて」――。元公明党鹿児島市議の藤田照美さんは、地域の女性党員から、HAMの難病指定をめざし活動していた患者の菅付加世子さんを紹介された。菅付さんの話を聞き、「これはウイルス研究の専門家でもある江田康幸衆院議員につなげなくては、と直感したんです」と述懐する。
04年10月、江田氏は菅付さんら患者会と懇談。その後も意見交換を重ね、05年2月以降、国会でHAMの難病指定やウイルスの総合対策を訴え続けた。
▶赤008年9月18日 北区議会公明党議員団は患者会のメンバーと対応を話し合う(左から4人目が宮島おさむ区議)
一方、07年には東京都北区の公明党議員(宮島おさむ区議)が、藤田さんと共に菅付さん宅を訪問。その後、宮島おさむ区議の呼び掛けで全国の公明議員が各議会で総合対策を求める意見書運動を展開し、追い風を送った。
また、宮島おさむ区議が提案した母子感染防止の啓発チラシを母子手帳に挟む取り組みは、国の総合対策にも採用された。
公明党の国と地方の強力な推進によって、国は08年6月、HAMを難病に指定。10年9月にはウイルスの総合対策を検討する政府特命チームを設置した。これには政府の求めに応じ、野党議員ながら江田氏も異例の形で参加。総合対策の策定をリードした。
山野教授は一連の動きを振り返り、語る。「『まず話を聞こう』との姿勢が印象的だった。国と地方それぞれの立場で当事者に寄り添ってくれたのが公明党だ」
2019年2月8日付 公明新聞より